総評
特別協力/山崎直子
第2回宇宙建築賞のご開催、おめでとうございます。 今回は、「木星の月」という、地球周辺の宇宙施設とは違い、より創造力が必要とされる難しい課題でした。どのような作品が提案されるのか楽しみにしていましたが、入賞作品を拝見し、参加者の皆さんの熱い思いが伝わってきました。木星の第3衛星であるガニメデに有益な宇宙施設をつくる、という命題を考える中で、未来の地球は、そして私達の生活はどうなっているのだろう、どうしたいのだろう、という大きなビジョンまで練ってくれていたように思います。
現在は、コンピューター、再生医療、ロボット、IoTなど技術の進歩が目覚ましいですが、宇宙の分野でも技術が進歩しています。冥王星の接近写真はとてもインパクトがありましたが、「はやぶさ2」や「あかつき」も地球を超えた深宇宙探査に取り組んでいます。国際宇宙ステーションでは、3Dプリンターにより、地上から製品自体を運ばなくても、現地で故障したものや足りなくなった工具などの生産が一部可能になりました。無線での電力伝送実験なども行われています。人工衛星も小型化技術の恩恵を受け、国家プロジェクトだけではなく、大学などの教育機関や民間企業という単位で打上げることが可能になりました。それにより、宇宙の利用がより分散的に広まっていくことが期待されます。
そうした流れを受け、官民がそれぞれの役割で共同して、熱意をもって宇宙開発を先導していく、そんな時代に向かっていくと思われます。そのためには、地球や宇宙の未来を描くビジョンが大切になってきます。皆さんの思いがいつの日か実現し、ガニメデに有益な施設ができる日が楽しみです。そして、宇宙建築賞コンペが更に発展し、未来に寄与されていくことを期待しています。
SOGAME LAB.